楽しい映画と美しいオペラ――その95
2020年6月3日 楽しい映画と美しいオペラ
私の愛する二人のヴァイオリニスト――庄司紗矢香とヒラリー・ハーン コンサートにはしばらくのご無沙汰である。それで、録りためてあったビデオを順番に観はじめた。そのなかで、とりわけ感銘を受けたのが、5月10日にNHKのEテレ …
楽しい映画と美しいオペラ――その94
2020年5月3日 楽しい映画と美しいオペラ
小津安二郎の「紀子三部作」――『晩春』『麦秋』『東京物語』 コロナウイルス禍で、劇場も映画館も閉まっている。大切な楽しみへの窓が閉ざされている以上、家でその代替物を求めるしかない。音楽にせよ、映画にせよ、劇場で観るにしく …
むさしまるのこぼれ話 その十 タンゴは続く、どこまでも
2020年4月5日 むさしまるのこぼれ話
『サタンタンゴ』(監督タル・ベーラ) ぐずつく空、ぬかるんだ地面、寒村の倉庫の薄汚れた壁… そんなモノクロームの映像が、文字どおり延々と、観ている者の感覚マヒを狙うかのように、続いてゆく。上映時間7時間18分。これは、わ …
楽しい映画と美しいオペラ――その93
2020年3月21日 楽しい映画と美しいオペラ
能は600年の伝統オペラか!——坂井同門会の『松風』 新型コロナウイルスのせいで、コンサートも中止続きである。3月1日のヘンデルの『シッラ』(神奈川県立音楽堂)、13日のフィリップ・ジャルスキーのリサイタル(東京オペラシ …
楽しい映画と美しいオペラ――その92
2020年2月18日 楽しい映画と美しいオペラ
賞に値する作品であるか?——韓国映画『パラサイト 半地下の家族』 韓国映画の『パラサイト』がアカデミー賞の作品賞を獲得した。昨年のカンヌ国際映画祭でのパルムドール受賞と合わせて2冠である。これはめでたいことといわねばなら …
楽しい映画と美しいオペラ――その91
2020年2月6日 楽しい映画と美しいオペラ
文楽人形は理想の女性像?——谷崎潤一郎『蓼喰う虫』 谷崎潤一郎は文楽の人形になにを託したのだろうか。『蓼喰う虫』は、離婚の危機にある夫婦を描きながら、その背景に文楽を置いている。道頓堀の『心中天の網島』と淡路の『生写(し …
楽しい映画と美しいオペラ――その90
2020年1月4日 楽しい映画と美しいオペラ
また笑って泣いてしまった——『男はつらいよ お帰り寅さん』 『男はつらいよ お帰り寅さん』ははじめから涙だった。歳とったさくらと博が柴又の団子屋にいる。背景に、50年前、つまり『男はつらいよ』第1作の彼らの姿が映し出され …
楽しい映画と美しいオペラ――その89
2019年12月2日 楽しい映画と美しいオペラ
愉悦に満ちたオペラのよう——92歳ブロムシュテットの『ハ短調ミサ』 ヘルベルト・ブロムシュテット。スウェーデンの指揮者で当年92歳。彼の指揮するモーツァルトの『ハ短調ミサ』を聴いて、円熟とはなんだろうと考えた。若々しいリ …
おいしい本が読みたい 第36話 巫女の文学
2019年11月24日 おいしい本が読みたい
読まないでいるといつか後悔するぞ、と長年宿題にしていた作品のうちの一作をようやく手にした。『苦海浄土 わが水俣病』(石牟礼道子)である。「わが水俣病」のこの「わが」が凄い。「水俣病」の生まれた土地で、「水俣病」を生きざる …
楽しい映画と美しいオペラ――その88
2019年11月4日 楽しい映画と美しいオペラ
安楽死を考える——映画『君がくれたグッドライフ』とNHKスペシャル『彼女は安楽死を選んだ』 仲間が集まり、年に一度の自転車旅行に出かけようとしている。行く先はベルギー。誰かが「今回はどうしてベルギー?」と問いかける。まあ …