知と文明のフォーラムⅡとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。

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楽しい映画と美しいオペラ――その95

私の愛する二人のヴァイオリニスト――庄司紗矢香とヒラリー・ハーン コンサートにはしばらくのご無沙汰である。それで、録りためてあったビデオを順番に観はじめた。そのなかで、とりわけ感銘を受けたのが、5月10日にNHKのEテレ …

楽しい映画と美しいオペラ――その94

小津安二郎の「紀子三部作」――『晩春』『麦秋』『東京物語』 コロナウイルス禍で、劇場も映画館も閉まっている。大切な楽しみへの窓が閉ざされている以上、家でその代替物を求めるしかない。音楽にせよ、映画にせよ、劇場で観るにしく …

むさしまるのこぼれ話 その十 タンゴは続く、どこまでも

『サタンタンゴ』(監督タル・ベーラ) ぐずつく空、ぬかるんだ地面、寒村の倉庫の薄汚れた壁… そんなモノクロームの映像が、文字どおり延々と、観ている者の感覚マヒを狙うかのように、続いてゆく。上映時間7時間18分。これは、わ …

楽しい映画と美しいオペラ――その93

能は600年の伝統オペラか!——坂井同門会の『松風』 新型コロナウイルスのせいで、コンサートも中止続きである。3月1日のヘンデルの『シッラ』(神奈川県立音楽堂)、13日のフィリップ・ジャルスキーのリサイタル(東京オペラシ …

楽しい映画と美しいオペラ――その92

賞に値する作品であるか?——韓国映画『パラサイト 半地下の家族』 韓国映画の『パラサイト』がアカデミー賞の作品賞を獲得した。昨年のカンヌ国際映画祭でのパルムドール受賞と合わせて2冠である。これはめでたいことといわねばなら …

楽しい映画と美しいオペラ――その91

文楽人形は理想の女性像?——谷崎潤一郎『蓼喰う虫』 谷崎潤一郎は文楽の人形になにを託したのだろうか。『蓼喰う虫』は、離婚の危機にある夫婦を描きながら、その背景に文楽を置いている。道頓堀の『心中天の網島』と淡路の『生写(し …

楽しい映画と美しいオペラ――その90

また笑って泣いてしまった——『男はつらいよ お帰り寅さん』 『男はつらいよ お帰り寅さん』ははじめから涙だった。歳とったさくらと博が柴又の団子屋にいる。背景に、50年前、つまり『男はつらいよ』第1作の彼らの姿が映し出され …

楽しい映画と美しいオペラ――その89

愉悦に満ちたオペラのよう——92歳ブロムシュテットの『ハ短調ミサ』 ヘルベルト・ブロムシュテット。スウェーデンの指揮者で当年92歳。彼の指揮するモーツァルトの『ハ短調ミサ』を聴いて、円熟とはなんだろうと考えた。若々しいリ …

おいしい本が読みたい 第36話 巫女の文学

読まないでいるといつか後悔するぞ、と長年宿題にしていた作品のうちの一作をようやく手にした。『苦海浄土 わが水俣病』(石牟礼道子)である。「わが水俣病」のこの「わが」が凄い。「水俣病」の生まれた土地で、「水俣病」を生きざる …

楽しい映画と美しいオペラ――その88

安楽死を考える——映画『君がくれたグッドライフ』とNHKスペシャル『彼女は安楽死を選んだ』 仲間が集まり、年に一度の自転車旅行に出かけようとしている。行く先はベルギー。誰かが「今回はどうしてベルギー?」と問いかける。まあ …

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