楽しい映画と美しいオペラ
楽しい映画と美しいオペラ――その134
2024年4月20日 楽しい映画と美しいオペラ
水が語る人間の歴史、そして未来――坂本龍一『TIME』 薄明かりの照明のもと、舞台には一面に水がひかれている。かすかな水の音。ぽとりぽとりと、雨が滴る音。静寂そのものの舞台は、深い森のなかなのか。 水の音は、この作品の作 …
楽しい映画と美しいオペラ――その133
2024年3月20日 楽しい映画と美しいオペラ
信仰は革命に抗しえたか?――プーランク『カルメル会修道女の対話』 1794年7月17日、16人のカルメル会修道女が断頭台の露と消えた。このオペラは、その歴史的事実をテーマとしている。主人公は侯爵令嬢のブランシュで、彼女は …
楽しい映画と美しいオペラ――その132
2024年3月1日 楽しい映画と美しいオペラ
繊細で絶妙なヘテロフォニー――能『松風』再び 橋掛りの奥の方から、対話を交わしているような謡の声が聴こえる。松風・村雨姉妹の登場である。彼女たちは汐汲みの帰りだが、まだ姿は見えない。微妙に重なりあうふたりの声。私の待ち望 …
楽しい映画と美しいオペラ――その131
2024年2月14日 楽しい映画と美しいオペラ
生きること、喜びと哀しみと――ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』 この映画の最後のシーン。役所広司扮する平山の、トイレ清掃車を運転する顔がアップで映し出される。それも何分間かの長いカットである。笑っているよ …
楽しい映画と美しいオペラ――その130
2024年2月2日 楽しい映画と美しいオペラ
歌で満たされたコンサート――プレトニョフ指揮の北欧音楽 ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク。北欧の国々は私の興味を惹きつけてやまない。人々の幸福度を調べると常に上位に位置するし、教育の先進性の観点からも注 …
楽しい映画と美しいオペラ――その129
2023年12月30日 楽しい映画と美しいオペラ
生活のなかの「魔法」――アキ・カウリスマキ『枯れ葉』 映画が終わって階段を降りていたら、誰かが「枯葉」を口ずさんでいる。中年の主人公たちの恋がやっと実って、ふたりが広い公園を去っていく場面に流れていた有名なシャンソンであ …
楽しい映画と美しいオペラ――その128
2023年12月9日 楽しい映画と美しいオペラ
死と埋葬と祈りと――パオロ・タヴィアーニ『遺灰は語る』 「私はお墓に行く必要はありません。なぜなら、両親はじめ大事な人の遺骨は全部我が家にあるんですから」。あるネット上のセミナーに参加して、こんな話を聞いた。死生学を研究 …
楽しい映画と美しいオペラ――その127
2023年11月26日 楽しい映画と美しいオペラ
声の饗宴を楽しむ――ボローニャ歌劇場の『ノルマ』 久しぶりに、イタリアオペラを聴いた!という感慨をもった。それもとびきりのベルカントオペラを。このオペラは、ノルマ、アダルジーザ、ポリオーネの3歌手の質が揃わないと、いい舞 …
楽しい映画と美しいオペラ――その126
2023年11月5日 楽しい映画と美しいオペラ
主役はクレオパトラか?――鈴木優人の『ジュリオ・チェーザレ』 『ジュリオ・チェーザレ(ジュリアス・シーザー)』はヘンデル39歳のときの作品で、17作目のオペラである。ドイツのハレに生まれたヘンデルは、イタリアを経由してロ …
楽しい映画と美しいオペラ――その125
2023年10月5日 楽しい映画と美しいオペラ
朝鮮人虐殺の深層――森達也『福田村事件』 「あー、なんということだ」。この一言が、観終わった直後の感想だった。罪もない人たちが、子ども含めて、9人虐殺された。殺した人たちも、決して極悪人などではない。隣近所にいる、ごく普 …