ならず者国家(a rogue nation)イスラエルの暴挙
5月31日早朝、地中海の公海上で、トルコやギリシアから出港したパレスティナのガザ救援物資を積み込んだ船団がイスラエル海軍の武装艇やヘリコプターに襲撃され、拿捕され、乗り組んだ平和活動家など10名の死者と多数の負傷者を出し、乗組員ともども全員が逮捕されるという事件が起こった。臨検や荷物検査というならともかく、公海上での武力による襲撃は、それだけでも国際法違反である。
中東はもちろん、欧米でもこれはメディアのトップニュースであり、各国政府は駐在大使を呼んでイスラエルをきびしく非難し、トルコ政府はただちに国連安全保障理事会に提訴した。
私は31日早朝のアルジャズィーラの断片的映像を交えたニュース速報を見て、これは大事件だと衝撃を受けたが、日本のメディアの扱いや政府の無反応に驚きあきれてしまった。とりわけ鳩山政権の看板であるはずの「友愛」はどこへ飛んでしまったのか。人間の心が読めず、国際的空気が読めないのは首相だけではない。メディアも政府も国会もそうだ。「平和の党」を標榜しているはずの社民党も声明ひとつだせないのか。
北朝鮮と双璧のならず者国家(ただしイスラエルの国内には曲がりなりにも言論の自由はあり、平和主義者も多い)イスラエルは、かつてナチスがユダヤ人に対して行った同じ行為をパレスティナ人や支援者たちに行っている。われわれの祖先は歴史をカガミ(鏡、鑑)と称したが、それは過去を映しだすとともに、そこに映しだされた誤りを教訓とするためである。たしかにわが国も、歴史認識の問題で中国や韓国に批判されているように近現代史をカガミとするにいたってはいないが、その反省を含めて、イスラエルの暴挙になんらかの声を挙げるべきである。



