ヒゲ:水元公園は、いま、色んな花でいっぱいだね。
メガネ:いい季節だよ。
ヒゲ:写真はエゴノキの花。まるでサクラの花のようだ。
メガネ:やがて菖蒲祭りがはじまるね。
ヒゲ:そう、この公園の花菖蒲は有名なんだ。
メガネ:でも、その祭りのときは屋台も出て混雑するから、ボクは来園を遠慮してる。
ヒゲ:キミはここに本を読みに来るんだからね。

メガネ:ところで、今朝(5月25日)の朝日新聞に、懐かしいオペラ歌手に関する記事があって、興奮冷めやらない。
ヒゲ:えっ、誰についての記事?
メガネ:ハンガリーのソプラノ歌手、アンドレア・ロスト。
ヒゲ:オレはオペラは門外漢だから、その歌手のことは知らないな。
メガネ:ボクは彼女の『椿姫』を、1998年に東京文化会館で聴いた。そして、涙が止まらなかった。
ヒゲ:もう30年近く前のことだね。
メガネ:そうだね。彼女はまだ30代の半ばだったはず。いまだに彼女のヴィオレッタを超える歌手を聴いたことはない。ヴィオレッタは『椿姫』の主役で、高級娼婦。
ヒゲ:何人もの歌手で聴いているのに?
メガネ:透明な歌声こそが彼女の持ち味でね。薄幸のヴィオレッタの哀しみが心に沁みた。

ヒゲ:それで、その歌手についての記事とは?
メガネ:ハンガリーのオルバン政権に対して、正面切って抵抗している。
ヒゲ:オルバンといえば、もう15年間もハンガリーを支配している、極右の政治家だね。
メガネ:実に巧みに選挙で勝ち上がっている。
ヒゲ:彼の戦略は次のように明確で、なるほどと思わせる。
1.メディアの支配
2.司法の支配
3.移民排斥
4.LGBTQなど異質な存在の排除
5.反EU・反エリート
メガネ:トランプそのものじゃないか!
ヒゲ:残念ながら、この考えが世界に広がっている。

メガネ:ハンガリーには、そんなオルバンに抵抗できる大きな組織が存続しなかったらしいけど、最近「ティサ(尊重と自由)」という政党が力を持ちつつあるという。
ヒゲ:アンドレア・ロストはその政党を支援しているわけか。
メガネ:その数万人規模の集会で、彼女はドヴォルザークの「家路」をふくよかに歌ったのだという。
ヒゲ:世界的な歌手の支援は、大きな力になるね。
メガネ:音楽の力でよりよい社会をつくっていきたいという彼女の想いは、なんとも力強い!
ヒゲ:オレもアンドレア・ロストの歌を聴いてみたいな。
メガネ:彼女のアリア集のCDがあるから、今度持ってくるよ。

2025年5月25日 ワーニャじいさん