ヒゲ:今年も9月に入ってしまったね。
メガネ:まったく月日の経つのは早いねぇ。
ヒゲ:この夏は大変な暑さだった。9月になってもまだまだ暑い。
メガネ:この時期は、花も端境期なのかな。水元公園も花が少ないね。
ヒゲ:年間を通して、色んな花が咲く公園だけどね。
メガネ:池のたもとのミソハギが、際立ってきれいに見えたよ。
ヒゲ:この花は花期が長いね。咲き始めたのは7月だよ。
メガネ:こんな花は貴重だよ。

ヒゲ:ところで、最近の朝日新聞の「天声人語」は読み応えがあるね。
メガネ:そう? このコラム、何年間もそんなに気にしてなかったよ。
ヒゲ:昨日(9月6日)は、関東大震災時の朝鮮人虐殺について。その記録はない、という政府の発言を取り上げていた。
メガネ:つい最近も、横浜での虐殺の記録が見つかったと話題になっているのに?
ヒゲ:市民団体や研究者が、これまでもいくつもの記録を掘り起こしている。
メガネ:それを政府は「ない」と言っている。
ヒゲ:「天声人語」はこう結んでいるよ。 「政府は何を守り、どこへ向かおうとしているのか。まだ希薄な、しかし得体の知れぬ空気が漂っているようにも思われてならない。うすら寒くなる」。

ヒゲ:8月23日の「天声人語」は画家の香月泰男(かづきやすお)についてだよ。
メガネ:その画家は知らないな。
ヒゲ:シベリア抑留に関する絵を描いた画家だよ。シリーズで57点ある。
メガネ:で、コラムは何と?
ヒゲ:彼はシベリアに移送される列車の窓から、リンチを受けたような日本人の「赤い死体」を見る。それを原爆の「黒い死体」と対比したという。
メガネ:と、いうと?
ヒゲ:「加害者のあがなわされた赤い死」と「無辜(むこ)の民の黒い死」。
メガネ:つまり、加害と被害の象徴としての死だね。
ヒゲ:画家は、戦争と抑留の意味を、終生問い続けたそうだ。
メガネ:シベリアに抑留された日本人はおよそ57万人。そのうち5万人以上が亡くなっている。
ヒゲ:ソ連全体での抑留者は1000万人、ドイツ人は240万人というよ(立花隆『シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界』)。
メガネ:日本人だけではないのか! ではあとの700万人は?
ヒゲ:ソ連人。資源は豊富ながら労働力のないシベリアに、些細な罪などで送り込まれた。まさに「収容所群島」だったわけだ。
メガネ:知らないことが多いなぁ。

2023年9月7日 ワーニャじいさん