楽しい映画と美しいオペラ
楽しい映画と美しいオペラ――その139
2024年9月10日 楽しい映画と美しいオペラ
奇跡のコミュニティ――佐井大紀『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』 「イエスの方舟」。この名称は、私の心のどこかに引っかかるものがあった。それで、この映画が上映されていることを知り、何十年も前の記憶をたどる意味 …
楽しい映画と美しいオペラ――その138
2024年8月20日 楽しい映画と美しいオペラ
原題はLa chimera(幻想) ――アリーチェ・ロルヴァケル『墓泥棒と失われた女神』 モンテヴェルディ『オルフェオ』のプロローグの音楽が鳴り響くなかで物語ははじまる。列車のなかで眠りこける若い男。上下のスーツだが、す …
楽しい映画と美しいオペラ――その137
2024年6月28日 楽しい映画と美しいオペラ
「真実」の断片で判断してはならない――イルケル・チャタク『ありふれた教室』 ドイツの中学校の教室が舞台のひとつである。日本の学校と異なるのは、生徒たちが多様だということ。アジア、アフリカ、中近東など、ヨーロッパ系ではない …
楽しい映画と美しいオペラ――その136
2024年5月28日 楽しい映画と美しいオペラ
投げかけられた重い問い――濱口竜介『悪は存在しない』 冒頭、深い森の樹々が映し出される。森のなかを歩く人が仰ぎ見るであろう風景が、延々と。そして、一組の父娘が、この森を歩く。手をつないで、また、父が娘を背負うなどしながら …
楽しい映画と美しいオペラ――その135
2024年4月30日 楽しい映画と美しいオペラ
原爆投下はなぜ防げなかったのか――クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』 強烈な光と、それに続いてもくもくとわき上がるキノコ雲。大画面は不気味にうごめき、会場を揺さぶる大音響。1945年7月16日、アメリカは南部ニ …
楽しい映画と美しいオペラ――その134
2024年4月20日 楽しい映画と美しいオペラ
水が語る人間の歴史、そして未来――坂本龍一『TIME』 薄明かりの照明のもと、舞台には一面に水がひかれている。かすかな水の音。ぽとりぽとりと、雨が滴る音。静寂そのものの舞台は、深い森のなかなのか。 水の音は、この作品の作 …
楽しい映画と美しいオペラ――その133
2024年3月20日 楽しい映画と美しいオペラ
信仰は革命に抗しえたか?――プーランク『カルメル会修道女の対話』 1794年7月17日、16人のカルメル会修道女が断頭台の露と消えた。このオペラは、その歴史的事実をテーマとしている。主人公は侯爵令嬢のブランシュで、彼女は …
楽しい映画と美しいオペラ――その132
2024年3月1日 楽しい映画と美しいオペラ
繊細で絶妙なヘテロフォニー――能『松風』再び 橋掛りの奥の方から、対話を交わしているような謡の声が聴こえる。松風・村雨姉妹の登場である。彼女たちは汐汲みの帰りだが、まだ姿は見えない。微妙に重なりあうふたりの声。私の待ち望 …
楽しい映画と美しいオペラ――その131
2024年2月14日 楽しい映画と美しいオペラ
生きること、喜びと哀しみと――ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』 この映画の最後のシーン。役所広司扮する平山の、トイレ清掃車を運転する顔がアップで映し出される。それも何分間かの長いカットである。笑っているよ …
楽しい映画と美しいオペラ――その130
2024年2月2日 楽しい映画と美しいオペラ
歌で満たされたコンサート――プレトニョフ指揮の北欧音楽 ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク。北欧の国々は私の興味を惹きつけてやまない。人々の幸福度を調べると常に上位に位置するし、教育の先進性の観点からも注 …