知と文明のフォーラムⅡとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
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年別アーカイブ: 2008年

北沢方邦の伊豆高原日記【51】

数日の強い風で、残っていた紅葉や黄葉もすっかり散り尽くした。そろそろ食べ物も少なくなってきたと思い、オウ・リング・テストに不合格だったミカンの実(無農薬を売り物のなかにも、ときおり混じっている)を輪切りにし、葉の落ちた枝 …

北沢方邦の伊豆高原日記【50】

夕景色がきわめて美しい季節となった。ほとんど葉を落したわが家の雑木の枝々が、朱鷺色に染まった空に、レース細工に似た繊細な影を刻み、まだ葉を残した遠くの樹々の、残照に輝く葉叢の赤黄色と鮮やかな対照をつくりだす。急速に日が沈 …

北沢方邦の伊豆高原日記【49】

澄み切った空に木枯らしが吹く日は、伊豆高原名物の落ち葉吹雪が舞う。しかしこうした日は、あくまでも蒼い海に大島が浮かび、波打ち際に白く、波頭が寄せるのが肉眼でさえも見ることができる。わが家の雑木の枝々のあわいから、遠く霞む …

楽しい映画と美しいオペラ―その16

        ハイドンのオペラはおもしろい! ―北とぴあの『騎士オルランド』    心と身体をリラックスさせたいと思うときよく聴くオペラは、やはりモーツァルトやロッシーニのものだ。ヨハン・シュトラウスやレハールもいいし …

北沢方邦の伊豆高原日記【48】

前夜、木枯らしとまではいかないが、かなりの風が吹き、庭の落葉の散乱が、晩秋の弱い陽射しを浴びている。散りかけたカキの葉の赤みがかった鮮やかな黄色の上方に、まだ青みを残すクヌギの枝越しに、碧玉の海がひろがり、梢ではモズが誇 …

第10回セミナー 2008年11月1・2日

21世紀の市民と市民的公共性――小さなユートピアをめざして 講師:篠原一、青木やよひ、北沢方邦 今回のセミナーでは、主に、篠原一先生を講師にお招きし、「シティズンシップと市民的公共性――小さなユートピアをめざして」につい …

楽しい映画と美しいオペラ―その15

   肉体の快楽と精神の愉悦 ―『バベットの晩餐会』  初秋の夕刻、露天の温泉に身をゆだねて、空ゆく雲を眺めていた。暮れなずむ青空を背景に、わずかに夕陽に染められた雲が、ゆったりと動いていく。豊かな湯で身体はほどよく温め …

北沢方邦の伊豆高原日記【47】

緑の葉叢から鬱金色のキンモクセイの花が溢れている。今年は一週間ほど花期が遅れたようだ。9月末から急に寒気が訪れたというのに。 カミさんの書斎の窓を開けておくと、その横にのびた枝々から馥郁とした香りが入りこみ、家中にただよ …

おいしい本が読みたい●第九話       名著を味わう

おいしい本が読みたい●第九話       名著を味わう   家人はまったく期待しないが、ときに厨房で腕を振るうこともある。小泉武夫先生まがいの、名の知れぬ一品が得意の分野だけれども、世間並みの料理に挑戦することもやぶさか …

北沢方邦の伊豆高原日記【46】

夜半、コオロギの涼しい音色に目を覚まし、しばし聴き惚れた。寝室の隣のトイレからである。翌日から毎夜、キュウリの薄切りをトイレの絨毯にだしておくことにした。柔かな部分だけを齧るらしく、その緑の残骸が朝の光に映える。 だが昨 …

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