一般財団法人 知と文明のフォーラムとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
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むさしまるのこぼれ話

むさしまるのこぼれ話 その十四 修道女のコルトレーン

『イーダ』 第二次世界大戦終結から17年後の1962年。戦禍の傷跡もいえぬポーランドの修道院に孤児として育った少女アンナは、修道女誓願式を控えて、一度も会ったとのない唯一の縁者たる叔母ヴァンタを訪ねる。初対面の姪にヴァン …

むさしまるのこぼれ話 その十三 ダンプと赤線地帯

『洲崎パラダイス 赤信号』 1956年、日活。 監督:川島雄三。出演:新珠三千代、三橋達也、芦川いずみ、轟友起子、河津清三郎、小沢昭一。 江東区にある洲崎川にかかる洲崎橋のたもとに一軒の居酒屋兼貸しボート屋がある。橋の向 …

むさしまるのこぼれ話 その十二 民と民と民と…

『長江哀歌』(原題:三峡好人Still life)(三峡の善人)(監督ジャ・ジャンクー) 三峡ダムによって埋没の運命にある奉節(ホンジュ)の街にたどり着く男と女がいる。男は16年前に幼子を連れて出奔した妻を求めて、女は2 …

むさしまるのこぼれ話 その十一 寂しさと温かさと

目と目が合った、その老人と。ある宴会の席上でのこと、どの席が空いているか、立って眺め渡していたわたしの視界に、一番奥の席の老人の投げる眼差しが飛び込んできた。なにやら意味ありげな、いたずらっぽいといってもよさそうな、その …

むさしまるのこぼれ話 その十 タンゴは続く、どこまでも

『サタンタンゴ』(監督タル・ベーラ) ぐずつく空、ぬかるんだ地面、寒村の倉庫の薄汚れた壁… そんなモノクロームの映像が、文字どおり延々と、観ている者の感覚マヒを狙うかのように、続いてゆく。上映時間7時間18分。これは、わ …

むさしまるのこぼれ話 その九 微かな陽

『シークレット・サンシャイン(密陽)』(監督イ・チャンドン) これはもう、ひたすらラストシーンを語りたい作品だ。 どこにでもころがっている、しもた屋風の家の庭先。そこにある台に鏡を置いて、パンプスをはいたワンピース姿の女 …

むさしまるのこぼれ話 その八 台北の青い空

台湾の映画監督侯孝賢(ホー・シャオシェン)の作品中でいちばんのお勧めは、と問われたら、ためらうことなく「非情城市」と答える。今まで観た台湾映画のなかでは屈指のものだ。けれども好きな昨品は、と聞かれたら、たぶん「戀々風塵」 …

むさしまるのこぼれ話 その七 青春の門(モン)

今年も新宿に「台湾映画祭」がやってきた。 去年は、午前10時開始の侯孝賢の「戀々風塵」を眠い目をこすりながら観たっけ。観客も15人程度だった。ところが今年はどうだ、回数券まで買って勇んで出かけた初回は、満員御礼で入場不可 …

むさしまるのこぼれ話 その六 苦い銭

出稼ぎ、と聞くと自動的に反応してしまうのは、やはり育った時代と土地柄のせいだろうか。中卒の集団就職列車の光景がふと思い浮かんでしまう。そういう世代の原風景を見透かすかのように、パンフレットには、幼いと言っていいほどの娘の …

むさしまるのこぼれ話 その五 海角七号

「海角七号」、これはどうやら地名らしい。岬7番地といったところか。台湾映画で歴代2位の観客動員数を誇る作品だ。いろんな条件が重なって大ヒットということのようだが、その条件ひとつに舞台が台湾最南端の町(つまり台北でない)と …

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