知と文明のフォーラムⅡとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
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むさしまるのこぼれ話

むさしまるのこぼれ話 その三十一 君の名は「モ・クシュラ」

むさしまるのこぼれ話 その三十一 君の名は「モ・クシュラ」                        暗いボクシングジムの一角。サンドバッグに黙々とパンチを打ち続ける女がいる。田舎を飛びだしてきたマギーである。世界チ …

むさしまるのこぼれ話 その三十 香港(で)の終活

むさしまるのこぼれ話 その三十 香港(で)の終活 とある中国の殺風景な駅、人影のないプラットフォームで列車に乗る男。男は車窓に映る殺伐とした風景を眺めている。この男ロジャー・リーは仕事を終えて故郷のホンコンに帰るところだ …

むさしまるのこぼれ話 その二十九 歳月は等しからず

『精神0』(監督想田和弘、2020年)の冒頭で精神科医の山本晶知(当時82歳)が最初にむかえる患者の顔は、たしかに見覚えがあった。医師を食い入るように見つめる目は、2008年の前作『精神』のときに見せた、どこか不安を隠し …

むさしまるのこぼれ話 その二十八 「国語」は国民をつくる 

「国語」は国民をつくる(のか?) 『パリ20区、僕たちのクラス』(2010)という作品は、移民の流入にあえぐヨーロッパの大都市の現状を切り取って秀逸だ。多文化主義などというお題目をとなえるより、こういう映画を観て日本の移 …

むさしまるのこぼれ話 その二十七  風貌…

むさしまるのこぼれ話 その二十  風貌… 『阿賀に生きる』(佐藤真監督、1992年)は、阿賀野川流域の農村で暮らす三組の老夫婦の日常生活を中心に追ったドキュメンタリーである。長谷川夫妻は農業、遠藤夫妻は船大工、そして加藤 …

むさしまるのこぼれ話 その二十六 いのち、宿る、とき

アニメ『耳をすませば』(1995年)はわたしにとって忘れられない映画のひとつだ。忘れられない理由はその冒頭の数分間に尽きる。不思議さや懐かしさやらで、ひどく心を動かされてしまったのだ。 懐かしさのほうは、簡単なこと。思い …

むさしまるのこぼれ話 その二十五 多情の行方

まだ海辺の田舎町で、のほほんとギンヤンマを追いかけていた頃、庭の片隅の木葉に雨蛙がまどろんでいる格好に思わず見とれたことがあった。そうして注視しているうちに、ふと気づくと、この蛙くんにはひとつ余計な、あるいは贅沢なモノが …

むさしまるのこぼれ話 その二十四 暗⇒明⇒暗?    

      ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』を読んで心を揺さぶられた人は多いだろう。わたしもその一人だが、疑問を抱いた点が二つある。ひとつは、知的障害者の主人公チャーリーの抱える世 …

むさしまるのこぼれ話  その二十三 WANDAからW・A・N・D・Aへ 

この人はどこまで堕ちてゆくのだろうか? 映画を観終わって最初にこう思った。この人とはワンダ、アメリカの主婦の名である。馴染みのない人名なので某百科事典を繙いたら「WANDA(もしくはVANDA)は都市Cracovie(ポ …

むさしまるのこぼれ話 その二十二 「悪人」ってなに?

祖母と二人暮らしの祐一(妻夫木聡)、妹と二人暮らしの光代(深津絵里)、この孤独な男女が出会い系サイトで知り合う。祐一は初デートからいきなり光代をホテルに誘う。コトが終わって光代にお金を差し出す、ほかの女にもしてきたように …

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