知と文明のフォーラムⅡとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
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むさしまるのこぼれ話

むさしまるのこぼれ話  その二十三 WANDAからW・A・N・D・Aへ 

この人はどこまで堕ちてゆくのだろうか? 映画を観終わって最初にこう思った。この人とはワンダ、アメリカの主婦の名である。馴染みのない人名なので某百科事典を繙いたら「WANDA(もしくはVANDA)は都市Cracovie(ポ …

むさしまるのこぼれ話 その二十二 「悪人」ってなに?

祖母と二人暮らしの祐一(妻夫木聡)、妹と二人暮らしの光代(深津絵里)、この孤独な男女が出会い系サイトで知り合う。祐一は初デートからいきなり光代をホテルに誘う。コトが終わって光代にお金を差し出す、ほかの女にもしてきたように …

むさしまるのこぼれ話 その二十一 ふるさとは北にありて…

『ダンサーの純情』(パク・ヨンフン、2005年)は好きな映画だが、偽装結婚のために中国から韓国にやってきた娘チャン・チェミンのありきたりなサクセスストーリーで、良作とはいいかねる(本編の後に映し出される女優ムン・グニョン …

むさしまるのこぼれ話 その二十 男と女の間には…

香港の二組の夫婦が同じ日に、あるビルの隣り合う二部屋に引っ越してくる。かたや海外出張に多忙な夫を持つ妻、かたや残業を繰り返す妻を持つ夫。一方の妻ともう一方の夫が狭い廊下と階段ですれ違うこともままある。そのうち、ふとしたき …

むさしまるのこぼれ話 その十九 これぞ、映画!

3つ年上の幼馴染マー坊は無類の映画好きだ。もともとはモデルガンおたくで、映画にのめりこんだのは、ジョン・ウェインの雄姿が取りついたせいじゃないだろうか。小太りの体にのっかった丸顔が楽しそうに西部劇の名シーンを次から次へと …

むさしまるのこぼれ話 その十八 美麗島(台湾)は、今…

大空の彼方からだんだん高度を下げるにつれて、ある島だけが光り輝いて見えてくる。さらに地表に近づくと不可思議な文様が、あるいは波のようにうねる縞模様になって、あるいは葉脈の拡大写真のようになって、画面いっぱいに広がる。 縞 …

むさしまるのこぼれ話 その十七 生きにくさ、に抗して

『どっこい生きてる』 市立図書館の貸し出しDVDコーナーで手にとったこの作品。見たいと思った理由のひとつは、主演リストに河原崎長十郎と中村翫右衛門が並んでいたから。そう、『人情紙風船』のあの二人だ。それともうひとつ、ケー …

むさしまるのこぼれ話 その十六 揺れる心の『赤と黒』

『ハチドリ』  画面の主人公ウニは中学2年で、ソウルの集合団地に暮らす。家族は父母と兄と姉。一家総出でやりくりする家業の餅屋は典型的な零細企業で暮らしは楽でない。いきおい父親は子供たちに高学歴を期待する。けれども、期待と …

むさしまるのこぼれ話 その十五 戦争から戦争へ

『清作の妻』 今、女が手にしている五寸釘の切っ先は、まもなく夫の両眼に突き刺さるだろう。夫は失明し、兵役を免れるだろう。その結果、世間の顰蹙を買いつつも、少なくとも命は長らえるに違いない。出征祝賀会の座を離れて、たまたま …

むさしまるのこぼれ話 その十四 修道女のコルトレーン

『イーダ』 第二次世界大戦終結から17年後の1962年。戦禍の傷跡もいえぬポーランドの修道院に孤児として育った少女アンナは、修道女誓願式を控えて、一度も会ったとのない唯一の縁者たる叔母ヴァンタを訪ねる。初対面の姪にヴァン …

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