むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その三十六 連理の枝
2026年6月25日 むさしまるのこぼれ話
寡黙で大人しい有鉄(ヨウティエ)は、新疆ウィグルに近い中国甘粛省の貧しい農家の四男坊だ。両親と長男、次男もすでに亡く、三男の兄の家に寄宿している。その兄の息子が結婚を決めて同居するため、兄夫婦は弟の厄介払いを目論む。折よ …
むさしまるのこぼれ話 その三十五 馬から牛へ
2026年4月10日 むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その三十五 馬から牛へ 去る一月、タル・ベーラが逝った。で、その遺作、『ニーチェの馬』(2011)を観た。「ニーチェの馬」という表現は、哲学者ニーチェがイタリアのトリノで倒れてひと騒動起こした一件を …
むさしまるのこぼれ話 その三十四 亀に選ばれた男
2025年12月18日 むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その三十四 亀に選ばれた男 「レッド・タートル ある島の物語」(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督、2016)はこんなふうに展開する。 無人島に漂着した男は筏を作って脱出を試みる。だが、沖合に …
むさしまるのこぼれ話 その三十三 「切ないほど美しい」音楽
2025年9月17日 むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その三十三 「切ないほど美しい」音楽 エメットというギタリストは派手好きの見栄っ張りだが、ギターの腕前は評判で彼の演奏を楽しみにするファンも多い。そんなエメットが巡業先の港町でハッティーなる娘と懇ろ …
むさしまるのこぼれ話 その三十二 夜明け…はどこにでも
2025年5月28日 むさしまるのこぼれ話
真っ黒な画面のまま、ビブラフォンだかシンセサイザーだかよくわからない音が、やんわりと、ゆったりと、メロディーを奏ではじめる。やがて雨に濡れそぼったアスファルト道路の一郭が現れる。端っこのコンクリート部分が少しひび割れて欠 …
むさしまるのこぼれ話 その三十一 君の名は「モ・クシュラ」
2025年2月26日 むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その三十一 君の名は「モ・クシュラ」 暗いボクシングジムの一角。サンドバッグに黙々とパンチを打ち続ける女がいる。田舎を飛びだしてきたマギーである。世界チ …
むさしまるのこぼれ話 その三十 香港(で)の終活
2024年12月10日 むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その三十 香港(で)の終活 とある中国の殺風景な駅、人影のないプラットフォームで列車に乗る男。男は車窓に映る殺伐とした風景を眺めている。この男ロジャー・リーは仕事を終えて故郷のホンコンに帰るところだ …
むさしまるのこぼれ話 その二十九 歳月は等しからず
2024年9月16日 むさしまるのこぼれ話
『精神0』(監督想田和弘、2020年)の冒頭で精神科医の山本晶知(当時82歳)が最初にむかえる患者の顔は、たしかに見覚えがあった。医師を食い入るように見つめる目は、2008年の前作『精神』のときに見せた、どこか不安を隠し …
むさしまるのこぼれ話 その二十八 「国語」は国民をつくる
2024年6月16日 むさしまるのこぼれ話
「国語」は国民をつくる(のか?) 『パリ20区、僕たちのクラス』(2010)という作品は、移民の流入にあえぐヨーロッパの大都市の現状を切り取って秀逸だ。多文化主義などというお題目をとなえるより、こういう映画を観て日本の移 …
むさしまるのこぼれ話 その二十七 風貌…
2024年2月7日 むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その二十 風貌… 『阿賀に生きる』(佐藤真監督、1992年)は、阿賀野川流域の農村で暮らす三組の老夫婦の日常生活を中心に追ったドキュメンタリーである。長谷川夫妻は農業、遠藤夫妻は船大工、そして加藤 …




