一般財団法人 知と文明のフォーラムとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
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年別アーカイブ: 2016年

楽しい映画と美しいオペラ――その69

敵討ちを超える普遍的心性――文楽 通し狂言『仮名手本忠臣蔵』 加藤周一は日本人の行動パターンを批判して「忠臣蔵症候群」と評したことがあった。たいしたことはない目的にも関わらず、徒党を組んで盲目的に邁進する姿勢を揶揄したの …

楽しい映画と美しいオペラ――その68

革命を予感させる放蕩者――北とぴあの『ドン・ジョヴァンニ』 悲劇的な未来を予感させる暗く重厚な響き。一転、曲調は軽快味を加えて、そのあと明と暗は絡まりあいつつ、レポレロの最初のアリアに引き継がれる。『ドン・ジョヴァンニ』 …

楽しい映画と美しいオペラ――その67

サスペンスフルな不条理劇――深田晃司『淵に立つ』 両親と娘の三人が朝の食卓を囲んでいる。妻と娘は神に祈りを捧げているので、キリスト教の信者だと分かる。夫はそれを意に介することなく、すでに食事を始めている。次の場面は夫の作 …

楽しい映画と美しいオペラ――その66

象徴性に溢れた名舞台――二期会の『トリスタンとイゾルデ』 『トリスタンとイゾルデ』第2幕の劇的な幕切れ。私は拍手をすることができなかった。できなかったというより、拍手を忘れた。あるいは忘れるくらい呆然自失の状態に連れてい …

楽しい映画と美しいオペラ――その65

誰が『ローマの休日』を書いたのか――『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』 8月16日にNHKBSで放映された『ジョニーは戦場に行った』は、アメリカの名脚本家、ダルトン・トランボの唯一の監督作品である。名画にはいい脚本 …

楽しい映画と美しいオペラ――その64

中国現代史を証言する――胡傑のドキュメンタリー映画 かつてはほとんど関心がなかったスポーツ中継をよく観るようになった。テニス、サッカー、野球、相撲などである。歳を重ねて自由な時間が増えたという単純な理由もあるけれど、スポ …

おいしい本が読みたい 第31話 忘れられない人々

名作を要約することはできない、としばしばいわれる。要約したところで、換骨奪胎にすぎない。それと同じように、どうあがいても解説不能な作品というものもある。希望に賭ける心情のあまりの純度の高さに、絶望のあまりの深さに、読み手 …

楽しい映画と美しいオペラ――その63

モーツァルトと音楽の自由――ニコラウス・アーノンクール追悼 指揮者のなかでだれが一番心に残っているか、と問われれば、やはりニコラウス・アーノンクールと答える。彼のつむぎだす音楽は、とにかく刺激的である。クラシック音楽の世 …

おいしい本が読みたい 第30話 歴史の尺度(修正版)

最初に恥を忍んで記す、前言撤回ないし修正、と。前言とは、「歴史の尺度」と題した前回の内容のことだが、末尾にこんな書き方をした。 「自分の一生をものさしとして時代を見る。そういう歴史観も必要だろうと思う」日高のこの一言に触 …

楽しい映画と美しいオペラ――その62

それでも人は生きていく——『恋人たち』の絶望と一条の光 「人間は生まれながらの敗者である」。私の愛する藤沢周平がどこかのエッセイで書いていた言葉である。滋味深い彼の時代小説の底を流れるこの認識は、小津安二郎の映画にも密や …

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