一般財団法人 知と文明のフォーラムとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
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年別アーカイブ: 2022年

楽しい映画と美しいオペラ――その114

愛の本質を問う――『愛と哀しみの果て』(原題『アフリカの日々』) 彼はサファリにも蓄音機を持参した。 3丁の銃と1ヶ月分の食糧。 そしてモーツァルトを。 映画の冒頭、いまは年老いた主人公が、過去を回想する。私は彼女のこの …

むさしまるのこぼれ話 その二十一 ふるさとは北にありて…

『ダンサーの純情』(パク・ヨンフン、2005年)は好きな映画だが、偽装結婚のために中国から韓国にやってきた娘チャン・チェミンのありきたりなサクセスストーリーで、良作とはいいかねる(本編の後に映し出される女優ムン・グニョン …

楽しい映画と美しいオペラ――その113

北朝鮮は「地上の楽園」か?――ドキュメンタリー映画『スープとイデオロギー』 この映画の主人公は、1930年生まれの、在日コリアンの老女である。オモニ(母)という言葉がぴったり感じられる、まことに存在感のある美しい人で、こ …

水元公園の池畔談議15 映画『教育と愛国』

ヒゲ: あっという間に梅雨が明けたねぇ。 メガネ: 梅雨のあいだに咲いた花菖蒲は、いつにも増してきれいだった。 ヒゲ: でもその時期は人出が多くて、この公園に来る気はしなかったよ。 メガネ: いまは菖蒲も紫陽花も終わって …

おいしい本が読みたい 第41話 もう一つの台湾史

『台湾原住民文学選』。10年ほど前、市立図書館の一角にこのシリーズを目にした。各巻300ページ強で全9巻。堂々たる規模で、日本の出版文化の厚みに思わず畏敬の念すら覚えた。5年がかりでこの先週を完成させたのは草風館という出 …

むさしまるのこぼれ話 その二十 男と女の間には…

香港の二組の夫婦が同じ日に、あるビルの隣り合う二部屋に引っ越してくる。かたや海外出張に多忙な夫を持つ妻、かたや残業を繰り返す妻を持つ夫。一方の妻ともう一方の夫が狭い廊下と階段ですれ違うこともままある。そのうち、ふとしたき …

楽しい映画と美しいオペラ――その112

明日もまた生きていくために――アッバス・キアロスタミの映画 臨場感という言葉がある。その場に居合わせる感覚だが、アッバス・キアロスタミの作品ほどその感覚を味わえる映画は少ない。たとえば車を運転する場面。『桜桃の味』や『そ …

thank the blessings of nature

今年も梅がどっさり採れた。 この梅の木は父が亡くなったときに、大工さんから鉢でいただいたものが大きく育ってくれた。 梅干しは私の技量では難しいので、竹串で穴をあけて一晩冷凍庫に入れて、ハチミツか砂糖で覆えば梅エキスが沸き …

楽しい映画と美しいオペラ――その111

レオンハルトの伝統を引き継ぐ――バンジャマン・アラールのチェンバロ じつに11年ぶりにチェンバロの演奏会に出かけた。その音色は多彩で、品があり、奥行きの深さがある。若い音楽家の奏でる音色とは思えない。私は、もはや伝説とな …

楽しい映画と美しいオペラ――その110

霧のなかの真実――田坂具隆『この父に罪ありや』 田坂具隆の『この父に罪ありや』は、50分の小品である。しかし、観終わって、大長編映画を体験したかのような感慨をもった。テーマがいく層にも重なり、そのそれぞれに思考を巡らさな …

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