
メガネ:春の気配が濃くなってきたね。この公園に来るのが楽しみになってきたよ。
ヒゲ:そうだね。ヤナギも芽吹いてきたし、モクレンも満開だね。
メガネ:ソメイヨシノが見頃になるのには、もう少し日にちがいるかな。
ヒゲ:その頃はこの公園は人でいっぱいになる。オレは人混みが好きでないから、ここに来ることは敬遠したいね。
メガネ:公園の「書斎」も来園客に占拠されるしなぁ。
ヒゲ:自転車愛好家のキミは、ここ以外にも「書斎」があるんだろう?
メガネ:そうだね。市川の里見公園にもあるよ。
ヒゲ:あそこの桜も有名だから、しばらくは「書斎」がなくなるね。
メガネ:いい気候で、痛し痒し、というところかな。
メガネ:ところで、今年は東日本大震災から15年だね。もうそんなに経ったのか、と驚くばかり。
ヒゲ:まったくね。歳をとるはず。
メガネ:福島の原発の廃炉は、15年経ったにもかかわらず、遅々として進んでないようだ。
ヒゲ:そのことだよ、オレが憤まんやる方ないのは。あの大事故のあと、日本は原発から撤退する方向に舵を切ったのではないの?
メガネ:なのに、現在は逆の道を歩みはじめた。
ヒゲ:再稼働ばかりか、新規増設まで視野に入れている。
メガネ:いっぽう、風力発電など自然エネルギー関連は足踏み状態だね。
ヒゲ:福島沖の洋上風力は、国家プロジェクトだったのに2020年に撤退したし、秋田、新潟などでも停滞・遅延が相次いでいる。
メガネ:世界を見渡すと、風力発電は重要なエネルギー源と見做されているのにね。
ヒゲ:電力が余ると、日本では真っ先に制限されるのは自然エネルギーだよ。そのなかでの原発回帰。
ヒゲ:「トイレのないマンション」。この言葉は原発の最大の欠陥を表している。
メガネ:使用済み核燃料の処理の問題だね。
ヒゲ:曲がりなりにも回答を出したのは、フィンランドくらいじゃないの?
メガネ:フィンランドでは、それを地下約500mの、堅固な岩盤下に保管することを決定したね。オンカロ(フィンランド語で空洞)といわれてる。放射能が減衰する10万年保管するとか。
ヒゲ:ほとんどの国は、使用済み核燃料をそのまま地下に埋める方向みたいだけど、実行に移してるのはフィンランドくらいで、どの国も保管場所に苦慮している。
メガネ:では、日本は?
ヒゲ:日本は「核燃料サイクル(ブルサーマル)政策」をとっている。使用済み核燃料を再処理して、そこから出るプルトニウムとウランを混ぜ合わせたMOX燃料をつくり、それを原発で再利用する、というやり方。この方式をとっているのは、他にフランスとロシアくらいらしい。
メガネ:なぜ、「核燃料サイクル政策」をとる国が少ないの?
ヒゲ:簡単にいえば、採算性が悪いということだろう。日本には再処理施設がないため、フランスに送って処理してもらっている(3割の使用済み核燃料を再処理。残り7割はそのまま国内貯蔵)。だから、日本のMOX燃料は、ウランをそのまま燃やすのに比べると10倍のコストがかかっているらしい。
メガネ:えー、それなのになぜ日本はこの政策を進めるの?
ヒゲ:現在、青森県の六ヶ所村に、再処理工場を建設中なんだよ。1993年から建設開始したんだけど、97年完成予定がいまだに未完。7600億円の予算がすでに3兆円を大きく超えているという。
メガネ:完成したとして、採算はあうのかなぁ。
ヒゲ:そこだよ。国内で全量再処理できたとしても、MOX燃料は割高になるだろうし、廃棄物もそれほど減るとは考えられないという。だからイギリスも、2011年にプルサーマルから撤退した。
メガネ:いったん走り出したら、既成事実が積み上がって途中で変更できない。
ヒゲ:なんか、いつかきた道だよ。大事なエネルギー政策を、もっと真剣に考えてほしいよ。とりわけ再生可能エネルギーのことをね。政府も、野党も。
2026年3月27日 ワーニャじいさん



