ヨーガとインド哲学2――近代二元論を克服する道としてのヨーガとその実践

講師:北沢方邦

「ヨーガ――インド哲学とその実践」というテーマで、2006年の3月18日・19日、7月15日・16日の2回、セミナーが行われた。前者は知と文明のフォーラムの最初のセミナーである。講師はヨーガ歴40年の北沢方邦さん、場所はヴィラ・マーヤ。参加者はそれぞれ14人と12人。

いまなぜヨーガか、という基本的な問いかけから始まり、ヨーガの目標とするものがパンタジャリの『ヨーガ論』を引用して語られる。ヨーガは単に肉体の運動ではなく、実践する者の身体を変え、思考を変え、生き方そのものを変えるものである、と提示される。

ヨーガ(yoga)の原義は英語のyokeと同じで「くびき」を意味し、身体と思考を不可分に結びつける意味があるという。そしてこの二つを媒介するものがプラーナ(気)ということで、エクササイズはまず呼吸法から始まる。そして肉体の訓練であるハタハ・ヨーガの実践に入る。 パドマ・アーサナ(蓮華座)をはじめとする各種のアーサナ(姿勢)を教わる。筋肉・関節・内臓など身体を多面的に使うものだと実感するが、不摂生を積み重ねている中高年にはなかなかにキツイ。そしてまた講義。

第2回目のセミナーでは、「近代二元論を克服する道としてのヨーガ」を中心に講義が行われる。最新の物理学理論と古代インド哲学との共通点など、興味深い話が語られる。十の基本アーサナの習得も大きな課題であった。

なおこの講義をもとにした『ヨーガ入門――自分と世界を変える方法』が、平凡社新書として2008年2月に刊行された。(森)