北欧型教育と日本の教育――個別教育を中心とする北欧型教育に学ぶ

講師:伊藤美好、佐藤全、古山明男、リヒテルズ直子
会場:日本女子大学

日本女子大学森田伸子教育学科長の司会により、北沢方邦氏の挨拶ののち、古山明男(古山教育研究所主宰、『変えよう!日本の学校システム』)、伊藤美好(『パンケーキの国で――子どもたちと見たデンマーク』著者)、リヒテルズ直子(翻訳・通訳業、教育問題研究家、『オランダの個別教育はなぜ成功したのか』著者)、佐藤全 (日本女子大学人間社会学部教育学科教授)の4人のパネリストが発表を行なった。

古山氏はフィンランドの学校を視察した報告を中心に、伊藤氏はデンマークの学校を現地での子育ての体験もふくめ、カリキュラム、教育の理念、教員の勤務形態や学校長の役割、子供の現状等について、またリヒテルズ氏がオランダについて、やはり現地での体験をふまえながら学校制度、政治的事情、教育改革の経緯等について、それぞれ日本の現状と比較しながら報告を行なった。これを受ける形で、佐藤教授が教員養成の立場から日本の現状について報告を行なった。

その後、質疑応答の時間があり、活発な議論が続いた。全体として、教育改革が成功し、学力が向上したといわれる諸外国でも、教育に関しては常に議論があり、さまざまな意見や理念が競合していること、また日本と比べて優れていて取り入れたいと思われることがいろいろとあること、そのためには日本はもっと教育に予算を投入すべきで、それは決して不可能な金額ではないこと、が発言者の間で合意された。

200名を越える参加者があり、予定した休憩時間をカットして発表、活発な質疑応答が行なわれた。また終了後に行なわれた交流会でも情報交換、議論が続き、盛会であった。このシンポジウムの報告書が日本女子大学により作成され、関係者に送付された。(杉山)