■9月16日 国会の内と外が結束!
地方公聴会のあったこの日も、13時には正門前の桜田門へ続く両側道路、永田町から憲政記念館前の道路の3方向に、座り込みの人々が集まり始め、昼には道路隅は埋まっていきます。集会は13時、15時、16時半と断続的に開催され、国会議員が状況報告をし、主催3団体の発言、そのほかママの会、学者の方など、随時発言があります。
昼には通路は人で埋まる
15時の集会で発言するママの会メンバー
この日は、夕方から本格的な猛雨となりました。それでも人は減らずに、18時半からの集会は、1万人以上という主催者発表でした。警官隊が3列にずらり並び、装甲車も憲政公園の後ろ側まで昼から待機。車道に人が出ないように鉄柵は厳重にひもで括られているのですが、この日も装甲車の前まで鉄柵を越えて、桜田門に向かう車道の片側は解放区となりました。それは、17日、18日も同様でした。
主催者は非暴力の集会であることを訴えていますが、この日は逮捕者が何人も出たようで、警察の護送車が、サイレンを響かせながら何台も来ました。弁護士の方がマイクで他の弁護士さんに、警察で逮捕者への対応に当たるように呼びかける場面などありました。主催者側の救護班も、気持ちの悪くなった人がいないか、ぐるぐると巡回していました。
道路にならぶ装甲車と鉄柵
私は交通整理係で、黄色のビニールテープのようなものを持って歩行者通路を確保していましたが、人が押し寄せ満杯状態で、この日は途中でやめざるを得ませんでした。17日・18日は交通整理スタッフ人数を増やし、特に混み合い通り抜けができなくなる舞台前をぐるっとテープを持ち合ったので、集会開始前から終了まで交代しながら、続けました。
左側通行にご協力下さい、と言っても、右側に行こうとする人もいるし、スマホで舞台での発言者を撮ろうと立ち止まる人も多いですが、皆、「わかりました、あ、そうですか」と驚くほど協力的な方が多かったです。多くの参加者を見ることが出来たのですが、老若男女という言葉がピタリ当てはまりました。子連れの女性・男性も多く、足を引きずる年配の方、車椅子の方もいました。そういう方を見ると、互いに声をかけあって安全を確保します。スタッフは全員オレンジの布を着け、カンパのお願い、道路誘導・整理、バナー配布、夜はライト配布をしました。
黄色のテープを持ち交通整理
昼は、正門前の並木通り(と呼ばれる)の信号から渡れるのですが、この日は18時?ごろから、警察が遮断しました(17日・18日も)。鴻池委員長を部屋に入れるな!とピンクの鉢巻をして、女性議員が党派を超えて座り込みの抵抗をしているなど、国会の模様は刻々と18日深夜まで、議員が入れ替わりながら報告しました。国会内外で結束して、とか、国会にいても皆さんの声は響き、励まされるなど、たしかに議員と抗議の市民の距離が今回ぐっと縮まった気がします。この日は、国会に23時までいましたが、まだまだ、シールズ以外にも、大勢が必死のコールを国会に届けていました。
コールする奥田愛基さん
■9月17日 自発的参加の石田純一さん
大変物議をかもした「強行採決」があった日です。この日も雨は断続的に降りました。いつ採決されるかという緊迫した状況となり、この日からは座り込みは9時からとなりました。
朝9時の国会前
正門付近は憲政記念館の食堂(14:30に閉まってしまうことが多かった)しかないので、朝から夜まで居た参加者は食事をする場所がなく、困った方も多かったのではないかと思います。永田町に行く途中に国会図書館があり、そこには入館に名前登録など必要ですが、食堂と喫茶室があります。でもここも、17:50には閉まってしまいます。永田町駅を越えて自民党本部前も過ぎると、そこにはコンビニが2,3軒あるので、多くの方はここまで買いに来たようです。徒歩で往復すると30分はかかる距離でした。
「強行採決もどきは無効」とさかんに舞台でコールがあり、参議院の部会での強行採決のあったことがわかりました。議員の方は、皆、一様に、異様な採決の模様を語りました。屈強そうな、参議院ではなく衆議院の自民党の男性議員が入ってきて、「かまくら」というような体制で鴻池委員長を囲み、鴻池さんは机の下に入り、差し出されたペンライトの下で発言したが、何が起きたのかはわからない状態だった。野党議員が押し寄せたという報道があるが、間違っている、与党議員が最初に囲んだのだ、などでした。
また、国会には衛視(国会内の守衛)がいるが、そのなかに私服が混じっていた、という議員からの告発もありました。この光景を国会中継で見た人も多く、安倍内閣への不信は、更に広がった気がします。また、昨日の地方公聴会に関する報告書がたった35行しかない、地方公聴会を単なる採決のための通過儀礼としか考えていないことを如実に示した(次の日には64行?だかに増えたそうですが)、という議員報告もありました。
この日の夜の集会では、俳優の石田純一さんも発言しました。彼は、翌日の昼にも再度国会前に来て発言しています。主催団体から、石田さんはこちらから要請したわけではなく、昨夜集会に自発的に参加していたので、発言をお願いしたら引き受けてくれた、との説明がありました。この昼集会では、「主権者は17%の支持しかないのに、国会で過半数の議席を持てる。このような選挙制度はおかしい。自民党は先の参院選で約400万票も減らした。選挙があるごとに票を減らしている」など具体的数字を挙げて、語りました。
18日昼集会で2度目の発言をする石田純一さん
17日昼も降る雨
「総がかり行動」主催で1時間、そのあとシールズが主催という、マイクの音響が国会のまわり中に響く形の集会は21時までということで、この日から「総がかり行動」は国会正門から参議院議員会館に場所を移し、大きなマイクだけでの集会に切り替えました(18日も同様)。シールズは同じ正門前でのコールを続けたようです。
採決に抵抗する野党議員を励ますために徹夜覚悟という主催団体や市民の方もいましたが、私は22時過ぎに帰りました。この日は3万以上の参加と発表されました。
警官の配備の横の救護所
9月18日 深く、長く共有される体験
緊迫した状況のまま17日が過ぎ、主催者団体の1人は、「国会にいて、今日は顔も洗っていません」とそれでも元気そうに「今日もがんばろう!」と訴え、朝9時からこの日も正門前は人で埋まりました。4万5千人と発表でした。
昼集会では「賛成の立場で発言させろ」と幸福実現党を名乗る男性が横断幕を持って現れ、そのあとも、派手な大音響を鳴らして右翼の街宣車が2台、妨害に来ました。「官邸側の意を呈しての行動だろう」ということですが、いずれも「帰れ!」コールで居座ることなく帰りました。
この日の夜は、経済学者の金子勝さん、作家の島田雅彦さんも、発言しました。ものすごい熱気充満のなか、数時間オシクラマンジュウ状態で立ったまま、「安倍やめろ!強行採決するな!」と叫び続ける姿は、参加したすべての人たちのかに長く深く、共有され記憶されることと思います。徹夜しようか?とも思いつつ、やはり体力を考え、終電前に帰宅しましたが、まだまだ、大勢が残り続けていました。
朝9時16分、徹夜続きで目を腫らし国会報告する議員
■9月19日 憲法の「殻」と平和の「実」
この日の未明に成立したとされる安保法制ですが、「総がかり行動」は9時から集会を行いました。また、定例の木曜集会も、国会会期中は続けようということで、今国会では最後ですが、場所を議員会館前から正門前に移して、24日18時半から、開催することになっています。連日の疲れも見せずに、参加した約300人で「戦争法案、廃止しよう!」とめげずにコールを上げました。
朝9時の集会
国会のまわりは、ぐるりといちょうの木が植えられていて、ちょうど時期的に銀杏が臭気を発する黄色の袋をかぶって、沢山、落ちていました。昼の集会参加者の数人が拾っていたので、私も拾いました。水に何日かひたせば、黄色の皮が破けてきて、固い銀杏の殻が現れ、その下にはおいしい栄養ある実があります。
今回の安保法制廃案をめざす行動を思うとき、安倍首相やその取り巻き、御用メディアの臭気が、だんだんだんだんと、多くの市民に知られ、その皮が破けてみると、70年続いた戦後のなかで、予想よりもずっと固い憲法という殻が現れ、その殻に守られて、平和を手放さないという実が立派に育っていた。そのことを、身体ごと、認識できた気がしています。とても感動的な日々でした。
国会で拾った銀杏
(束)