祖母が好きだった紫色の小さなスミレ、昔々から我が家の庭に雑草化して生息し、春になると顔をだす。なんとも素敵な匂いを発していて、英語名の「スイート・ヴァイオレット」の名称がぴったり!
私は修道院が併設されたカトリックの学校に通っていたのだが、外国人のシスターが居られるからか、当時はまだ珍しかった外国のお菓子が売られていた。その中に、口に含めばフワッーと溶ける紫色のラムネがあり、その香りはまさにこの庭のすみれと同じだった。懐かしくもう一度口にしたいが、見かけない。
モーツアルトの歌曲「春への憧れ」には、このスミレが出てくる。
♪♪♪
おいで、いとしい五月
また、木々を緑でいっぱいにして
そして小川のほとりに
小さなスミレの花を咲かせてよ
また、スミレを見られるなんて
僕はとても嬉しいよ
あぁ、いとしい五月、
僕はまた、お散歩したいんだ ♪♪♪
春を想い、弾む明るいメロディーを付けたモーツァルト。1791年の1月にこの曲を作り、同じ年の暮れに35歳の若さで世を去ってしまった。モーツァルトにはスミレ(K.476)という歌曲もある。この可憐な花が好きだったのか?最後となった91年の春、スミレを眼にしただろうか?
「春への憧れ(KV.596)」