ヒゲ: 彼岸花がキレイに咲いてるね。
メガネ: このベンチの前の花はみな赤いけど、白い花もあるんだね。
ヒゲ: 白い花は清潔さがあって、またいいよ。蜜を求めて蝶がやってきた。
メガネ: ああ。写真を撮っておこうかな。
ヒゲ: ベンチの前の光景は平和でいいんだけど、政局はきな臭くなってきたね。
メガネ: 日本学術会議の件だね。
ヒゲ: そうだよ。会議側が新会員として推薦した105名のうち、政権は6名の任官を拒否した。
メガネ: 6名の学者は、いずれも、安保法制や共謀罪法など政府の政策に異を唱えた人ばかりだね。
ヒゲ: 学問や思想の自由に対する露骨な挑戦だよ。
メガネ: こんなことをすれば、学界やジャーナリズムから総スカンをくうことは分かりきっていたはずだけど。あまりにミエミエで、また軽薄な官僚の勇み足か、とも思ったよ。
ヒゲ: とんでもない! 菅新政権は確信犯だよ。2016年の日本学術会議の補充人事のときも、政権側から干渉があったようだよ。それで17年秋まで3ポストは欠員だったという。
メガネ: そうなんだ。朝日新聞の10月2日の「素粒子」にも、「菅内閣の本性が現れた」と書かれているね。
ヒゲ: そうだと思う。菅政権はひょっとすると、安倍政権よりももっと危険な政権かもしれない。正面きって「学問の自由」「思想信条の自由」「言論の自由」に挑戦状を突きつけてきたんだから。
メガネ: 確かに。近代が獲得したこれら諸原則を踏みにじることは、近代国家に対するテロリズムだ、とまで批判する識者もいる。
ヒゲ: それにしても、日本の学界やジャーナリズムはなめられたものだよ。彼らの抗議や批判はたいしたことはなかろう、とタカをくくられたんだから。
メガネ: マスコミは、デジタル化や行政改革などに紙面を割きすぎだよね。菅新政権の目玉はそれしかないとはいえ。
ヒゲ: デジタル化にせよ行政改革にせよ、政策を実行する当たり前の手段だよ。大きく報道する価値なんてない。こんな目くらましに振り回されないで、マスコミは自らの生命線である「言論の自由」を守るため、頑張ってほしい。いま、日本のジャーナリズムの力量が問われている。

2020年10月4日 ワーニャじいさん