ヒゲ: もう冬鳥が渡ってきたね。
メガネ: そうなんだね。この写真は6日に撮ったものだけど、ヒドリガモだよ。
ヒゲ: 遠くて、どんな鳥だかよくわからないよ。
メガネ: 帰宅途中で慌てて撮ったからね。あ、はじめてのヒドリガモだ、と。双眼鏡で確かめたよ。
ヒゲ: ここにはカモは何種類も渡ってくるけど、ヒドリガモが一番多いよ。
メガネ: これからが楽しみだね。カモがいっぱい楽しそうに泳いでいると、こちらも嬉しくなるよ。
ヒゲ: 楽しい話題を代えて申し訳ないけど、再び日本学術会議問題。
メガネ: ああ、これはとても大きな問題だからね。言論の自由の問題。
ヒゲ: オレにはだんだん菅総理のやり方が見えてきたよ。じつに巧妙で陰険!
メガネ: どういうことだい?
ヒゲ: お坊ちゃんの安倍前総理のような軽率な失敗はしない。アベノマスクや一斉学校休校のようなね。
メガネ: 日本学術会議問題も、もちろん思いつきなんかではないということだね。
ヒゲ: そうそう。何年もかけて、じつに綿密な計画のうえだと思う。それに実行の時期もわきまえている。
メガネ: うーん。
ヒゲ: まず、政府のいうことをきかない日本学術会議をなんとかしたいと考えた。
メガネ: 日本学術会議は軍事技術とは距離をとるともハッキリいっているしね。
ヒゲ: とにかく政府は、もう何年も前から、日本学術会議のあり方を変えようとしていたんだよ。
メガネ: 7日の国会質疑では政府の内部文書が出てきたね。2018年11月に内閣府日本学術会議事務局が作成したやつ。
ヒゲ: そう、そこでは、首相は学術会議が提案してきた人事案をそのまま認める必要はないといっている。公務員の選定罷免権を規定する憲法15条を根拠にね。
メガネ: 確かに伏線は何年も前からあるんだ。
ヒゲ: それらの総仕上げが、今回菅政権がとったやり方だよ。政権の方針に異を唱える6名の学者をやり玉にあげた。最終の人事権は首相にある、とね。
メガネ: それにしてはあまりに強引ではないの? 誰がみても任命拒否の理由はハッキリしているよ。反発をくうのは明らかだし。
ヒゲ: それも首相は織り込みずみだよ。任命拒否の学者が、比較的有名であることが望ましい。
メガネ: そしていま、立憲民主党や共産党、さまざまな学会、大学、新聞などの反対声明が続いている。
ヒゲ: いっぽう、小泉進次郎氏はじめ自民党員からは、日本学術会議のあり方を考えるいい機会だという意見が続出している。もちろん首相とは意思疎通しているはず。維新の会や国民民主党など野党の一部もそれに乗っかっているよ。
メガネ: 河野行革相も、日本学術会議は行革の対象だと、今日表明した。
ヒゲ: メディアも「日本学術会議とは」という特集を組みつつある。今回の任命拒否とは関係ないにも関わらず。菅首相の狙いどおりだよ。論点ずらし。
メガネ: 学界やジャーナリズムの反対はそのうち小さくなるというわけか。
ヒゲ: そうだよ。任命拒否は「総合的・俯瞰的」に判断しており、「人事の詳細には答えられない」、と繰りかえしいい続けていけばいい、とね。
メガネ: 「既得権益打破」という言葉も巧みに利用しているね。携帯電話利用料を下げるなど、大衆に迎合する政策を進めているし。政権の支持率は下がらないと踏んでいるんだろうね。
ヒゲ: 日本学術会議の思い通りの改革と思想の統制。今回の任命拒否は、このふたつの命題を同時に遂行できることになる。菅政権は、厄介で危険な存在だとつくづく思うよ。
メガネ: なめられているのは、学界やジャーナリズムばかりではなく、国民もまた、ということだね。ボクたちもしっかりしなきゃ。
2020年10月9日 ワーニャじいさん