食料・身体性・環境セミナー シリーズ1

講師:安田節子、青木やよひ、北沢方邦

2008年は1月の中国製冷凍ぎょうざ事件に始まり、食品偽装や汚染米流通と食の安全を脅かす事件が次々と発覚した1年だった。当フォーラムも食政策センター「ビジョン」を主宰する安田節子さんを主講師に迎え「食料・身体性・環境セミナー」を開催し、食の現状をめぐる危機的状況と方向転換の必要性を語り合った。

一日目は、遺伝子組み換え食品の生産、流通を独占する多国籍企業の冷徹な手法を告発したドキュメンタリー映画『食の未来』を鑑賞後、クローン牛、放射線照射、BSE(狂牛病)、鳥インフルエンザなどをめぐる問題が取り上げられた。

2日目には、WTO主導による自由貿易の弊害、バイオ燃料ブームによる輸入穀物の不足と価格高騰、温暖化や大規模単一栽培の影響による世界的な食料不足、日本の食料自給率39%にみられる農業衰退の現状、そして有機農業への転換の必要性、広がる地産地消の動きなど持続可能な農への提言があった。

1960年代の「緑の革命」以来、経済合理主義にもとづく食糧生産がいかに環境を破壊し、南の国々に住む人の飢えを招き、また人間の生命や健康に害を及ぼしているかを確認できた2日間だった。さらにこの現状をより多くの人と共有したいと、今年6月、安田節子さんと他の二人のシンポジスとを迎えての第2回の集いを開催することになった。(大束)