メガネ:今日の水元公園は人が少ないね。
ヒゲ:平日はこんなものだよ。
メガネ:菖蒲祭りは大変な人出だったろうに。
ヒゲ:そうだね。屋台がいくつも出たし、広場の舞台ではカラオケもやってたな。
メガネ:敬遠してよかったよ。ボクはこんな静かな公園が好きでね。
ヒゲ:キミの「書斎」もそろそろ夏の木陰に移動かな。
メガネ:池の畔にね。
ヒゲ:今年は梅雨がないみたいに暑い。
メガネ:それで早々に「書斎」を移動した。池には南からコアジサシがやってきている。
ヒゲ:上空からスイっと池にダイビングするコアジサシの姿は、見ていて気持ちいいね。

メガネ:つい先日、6月17日に、久しぶりにサントリーホールに出かけた。
ヒゲ:何のコンサートで?
メガネ:「ハーモニーの共鳴 韓日友情の旋律」といって、日韓国交正常化60周年記念のコンサート。
ヒゲ:なんだか物々しい感じの催しだね。
メガネ:ボクも最初そう思ったけど、とてもいいコンサートだった。
ヒゲ:内容は?
メガネ:モーツァルトから現代曲まで、バランスよく選曲されていた。
ヒゲ:クラシックのコンサートだね。
メガネ:そう。演奏者は若手中心で、日韓の実力ある人ばかりだった。
ヒゲ:日本と韓国の音楽家の共演だね。

メガネ:韓国の音楽家については、指揮者のチョン・ミョンフン、ヴァイオリニストのチョン・キョンハくらいしか知らなかった。
ヒゲ:オレはクラシック音楽に暗いから何にも知らないけど、やはり欧米中心の世界だろう?
メガネ:確かに。小澤征爾がこの世界に飛びこんだときは、日本人に西欧音楽が分かるのか、といわれたらしい。
ヒゲ:いまは、多くの日本人の音楽家が、世界に羽ばたいているみたいだね。
メガネ:日本人ばかりでなく、中国、インドなどからも力のある人たちが出てきている。シンガポールの指揮者、カーチュン・ウォンもそうだよ。
ヒゲ:そのように視野が広そうなキミでも、隣の韓国の音楽家についてほとんど知らなかった!

メガネ:それは恥じるしかない。17日のコンサートは、目を開かされる思いだった。
ヒゲ:話は逸れるけど、コンサート名に「韓日」とうたっているから、主催は韓国側だったの?
メガネ:プログラムには「駐日韓国文化院」とあった。
ヒゲ:それはどういう団体?
メガネ:正確には「駐日本国大韓民国大使館 韓国文化院」というらしい。
ヒゲ:韓国大使館が主催をしたわけか。
メガネ:そういうことだね。国際交流の方法として、素晴らしい試みだったと思う。
ヒゲ:日本の大使館も、各国でこのようなことをやっているのかな。
メガネ:よく知らない。そうであってほしいな。

ヒゲ:具体的にはどのような交流があったの?
メガネ:たとえば、シューベルトの『幻想曲へ短調D.940』。この曲は、ふたりのピアニストが1台のピアノを弾く。小山実稚恵とキム・ソヌクが演奏した。キムは、リーズやクララ・ハスキルといった有名な国際コンクールで優勝しているという。
ヒゲ:なるほど!
メガネ:ボクはシューベルトが好きでね、息の合ったふたりのピアノに聴き惚れたよ。
ヒゲ:ひとつの曲を日韓の音楽家が共演するというスタイルだね。

メガネ:そう。最後に演奏されたのは、メンデルスゾーンの『弦楽八重奏曲Op.20』の第1・4楽章。
ヒゲ:八重奏というと、奏者は8人だね。
メガネ:第1ヴァイオリンの若きイム・ ジヨン(エリザベート王妃コンクール優勝)が引っ張り、堤剛とヤン・ソンウォンふたりのベテランチェリストがそれを支えた。メロディが奏者から奏者へと引き渡される第4楽章のフーガは、このコンサート全体を象徴して、圧巻だった。
ヒゲ:音楽は平和の礎だね。国と国、人と人を結びつけることができる。キミはいい演奏会に巡り合ったね。
メガネ:このコンサートに誘ってくれた古くからの友人Iさんには感謝。

2025年6月22日 ワーニャじいさん