むさしまるのこぼれ話
むさしまるのこぼれ話 その六 苦い銭
2018年5月29日 むさしまるのこぼれ話
出稼ぎ、と聞くと自動的に反応してしまうのは、やはり育った時代と土地柄のせいだろうか。中卒の集団就職列車の光景がふと思い浮かんでしまう。そういう世代の原風景を見透かすかのように、パンフレットには、幼いと言っていいほどの娘の …
むさしまるのこぼれ話 その五 海角七号
2018年2月28日 むさしまるのこぼれ話
「海角七号」、これはどうやら地名らしい。岬7番地といったところか。台湾映画で歴代2位の観客動員数を誇る作品だ。いろんな条件が重なって大ヒットということのようだが、その条件ひとつに舞台が台湾最南端の町(つまり台北でない)と …
むさしまるのこぼれ話 その四
2017年12月11日 むさしまるのこぼれ話
最初の映像は砂丘地帯を馬がゆく。馬上には黒い衣装の男、それと後ろに素っ裸の男の子。人を食ったような光景だ。やがて、とある村につく。村人はほとんど死んで、そこら中に死体がゴロゴロと転がっている。瀕死の男が一人いる、その男に …
むさしまるのこぼれ話 その三
2017年10月23日 むさしまるのこぼれ話
こんな味わいの日は、そうざらにはあるまいなと思えるほど濃い時間を過ごした一日だった。台湾映画の7時間、そのあとビールと餃子を囲んで映画好き3人の映画評。帰りの電車のなかでは、人々の日本語が異国語に聞こえた。オレ、台湾人に …
むさしまるのこぼれ話 その二
2017年10月10日 むさしまるのこぼれ話
成田空港に巨大な飛行機が飛び交って久しいというのに、なんで今更?といぶかる人も多いだろうけれども、先週は『三里塚のイカロス』(代島治彦監督)を見てきた。観客はざっと見積もって十人、ほぼ同世代の人々だった。大学紛争以降、狭 …
むさしまるのこぼれ話 その一
2017年9月22日 むさしまるのこぼれ話
先月観た中国映画は不思議な作品だったな。意味があるんだかないんだか、何が言いたいんだかさっぱり分からんのよ。そのくせ、あと後まで、映像ばかりがちらつく。例えば、中国の文革時代の下放されたいわゆるインテリの青年が、山のなか …