知と文明のフォーラムⅡとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
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楽しい映画と美しいオペラ

楽しい映画と美しいオペラ――その104

チェーホフをより愛するために――濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』 人は他者を理解することは難しい。その難しさゆえに様々な事件が起き、悲劇が生まれる。文学、さらに広く芸術が存在するのは、この困難さのゆえではないか、とさえ思 …

楽しい映画と美しいオペラ――その103

宗教は社会を救えるか?――胡傑監督ドキュメンタリー『麦地沖の歌声』 画面いっぱいに老女の顔が映し出される。日焼けした、深い皺が刻まれた顔。どこかで聴いたような節回しで、低くなにかを歌っている。イギリス民謡か。しかしそうで …

楽しい映画と美しいオペラ――その102

日本人女性の強さを描く――文楽『生写朝顔話』 4月25日、5月11日までの3回目の緊急事態宣言が東京都に発出された。5月14日の文楽のチケットを買ってあった私は、その時点で観劇を諦めていた。政府と都の新型コロナウイルスに …

楽しい映画と美しいオペラ――その101

嘘と愛と戦争と――黒沢清『スパイの妻』 娯楽性と社会性が見事に融合した、これぞ映画だ、という骨太な作品。話はサスペンス映画の様相を呈し二転三転するし、女と男の関係の複雑さも丁寧に描いている。茶の間で観た映画とは思えない、 …

楽しい映画と美しいオペラ――その100

生と死と、そして宗教の物語――チベット映画『羊飼いと風船』 久しぶりに映画館で映画を観た。昨年の2月以来であるから、じつに1年ぶりということになる。300席近い館内は閑散として寂しさを誘うが、座席はゆったりと、快い。深々 …

楽しい映画と美しいオペラ――その99

愛は時空を超える――愛の本質を描いた『慕情』 この映画は、ハン・スーイン(1916~2012)の自伝をもとにつくられた。ハン・スーインは、中国人技術者の父とベルギー人の母との間に生まれた、作家であり医者である。舞台は、1 …

楽しい映画と美しいオペラ――その98

舞台を制したカウンターテナー――ブリテン『夏の夜の夢』 久しぶりにオペラの素晴らしさを堪能した。劇場が夢のような音楽に満たされて、舞台では、神秘の森のなかを不思議な劇が進行する。2度の休憩を含めて3時間半、私は豊かな別世 …

楽しい映画と美しいオペラ――その97

心に染み入る天上の響き――リラ・コスモス「夏のライアーコンサート」 じつに4カ月ぶりにライブの演奏会に出かけた。聴衆は10人という小さな音楽会だったが、美しさが凝縮したかのような、心洗われる集いであった。10人しか聴くこ …

楽しい映画と美しいオペラ――その96

生命観をめぐる葛藤――ドキュメンタリー映画『フリーソロ』 フリーソロとは、命綱なしに、たったひとりで急峻な岩壁を登るクライミングスタイルのことである。この映画は、難攻不落のヨセミテの岩、エル・キャピタンを、1年以上かけて …

楽しい映画と美しいオペラ――その95

私の愛する二人のヴァイオリニスト――庄司紗矢香とヒラリー・ハーン コンサートにはしばらくのご無沙汰である。それで、録りためてあったビデオを順番に観はじめた。そのなかで、とりわけ感銘を受けたのが、5月10日にNHKのEテレ …

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