一般財団法人 知と文明のフォーラムとは、行き詰った近代文明を打破し、新しい「知」を構築する目的で、北沢方邦、青木やよひを中心に発足した団体です。
ブログ

楽しい映画と美しいオペラ

楽しい映画と美しいオペラ――その67

サスペンスフルな不条理劇――深田晃司『淵に立つ』 両親と娘の三人が朝の食卓を囲んでいる。妻と娘は神に祈りを捧げているので、キリスト教の信者だと分かる。夫はそれを意に介することなく、すでに食事を始めている。次の場面は夫の作 …

楽しい映画と美しいオペラ――その66

象徴性に溢れた名舞台――二期会の『トリスタンとイゾルデ』 『トリスタンとイゾルデ』第2幕の劇的な幕切れ。私は拍手をすることができなかった。できなかったというより、拍手を忘れた。あるいは忘れるくらい呆然自失の状態に連れてい …

楽しい映画と美しいオペラ――その65

誰が『ローマの休日』を書いたのか――『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』 8月16日にNHKBSで放映された『ジョニーは戦場に行った』は、アメリカの名脚本家、ダルトン・トランボの唯一の監督作品である。名画にはいい脚本 …

楽しい映画と美しいオペラ――その64

中国現代史を証言する――胡傑のドキュメンタリー映画 かつてはほとんど関心がなかったスポーツ中継をよく観るようになった。テニス、サッカー、野球、相撲などである。歳を重ねて自由な時間が増えたという単純な理由もあるけれど、スポ …

楽しい映画と美しいオペラ――その63

モーツァルトと音楽の自由――ニコラウス・アーノンクール追悼 指揮者のなかでだれが一番心に残っているか、と問われれば、やはりニコラウス・アーノンクールと答える。彼のつむぎだす音楽は、とにかく刺激的である。クラシック音楽の世 …

楽しい映画と美しいオペラ――その62

それでも人は生きていく——『恋人たち』の絶望と一条の光 「人間は生まれながらの敗者である」。私の愛する藤沢周平がどこかのエッセイで書いていた言葉である。滋味深い彼の時代小説の底を流れるこの認識は、小津安二郎の映画にも密や …

楽しい映画と美しいオペラ――その61

森鴎外、作家と軍人の狭間で——『鴎外の怪談』にみる大逆事件 先日はじめて文京区にある森鴎外記念館を訪れた。それも他用のついでということで、私にとって鴎外がいかに遠い存在であったかが分かる。鴎外の代表作といわれる『澁江抽齋 …

楽しい映画と美しいオペラ――その60

人間の原罪をみつめる——篠田桃紅の人生哲学 9月20日の日曜日の朝日新聞朝刊に、私に強い印象を与えた老女の著書の広告が大きく出ていた。『一〇三歳になってわかったこと』というタイトルの横で端然と座すその老女の横顔は、まこと …

楽しい映画と美しいオペラ――その59

四季のなかに息づく映画——『あん』は自然そのもの 「あんを炊いているときのわたしは、いつも小豆の言葉に耳をすましていました。それは、小豆が見てきた雨の日や晴れの日を、想像することです。どんな風に吹かれて小豆がここまでやっ …

楽しい映画と美しいオペラ――その58

チェーホフとシューベルトの親和性——『雪の轍』は人生の哀歌 94歳の栗本尊子の歌を聴いて以来、音楽表現にも年齢による成熟というものがあることを実感したものだが、いっぽうで、芸術というものは年齢を楽々と超えるものであること …

« 1 3 4 5 6 »
PAGETOP
Copyright © 一般財団法人 知と文明のフォーラム All Rights Reserved.